整備情報・不具合事例は、当店に持ち込まれたお車の不具合状況から、その原因として考えられる故障箇所、また実際の修理に至るまでを紹介します。
整備情報

平成24年 5月 2日  整備情報・不具合事例⑩
 ~  キーが抜けない ~ 

平成29年4月26日 記事修正

今回紹介するのは、平成10年式のダイハツ ムーブ[E-L600S](走行距離89,841km)で起きたイグニッションキーの不具合の状況と、その修理についてです。


症状:イグニッションキーが抜けない。


 この『イグニッションキーが抜けない』という症状が出たムーブですが…、
 先に結果を云うと、シフトロック機構に関連するケーブルの破損が原因でした。

 通常、シフトがP(パーキング)の位置にないとイグニッションキーがLOOKの位置まで回らず、キーが抜けない機構になっています。今回のお車のシフトロック機構は機械式で、シフトからキーシリンダー付近までケーブルが通っているタイプでした。

 シフトがP(パーキング)にあるにもかかわらずキーが抜けなかった原因は、ケーブルの一部(運転席の足元左側付近のケーブル取り付け部)が破損してケーブルが引っ張られて位置がずれ、キーシリンダー側でP(パーキング)位置での正常な作動をしなかったため、キーが抜けない状況となっていました。



図面と実物のキーシリンダー
配線図 配線の不具合


 このケーブルの修理にたどり着くまでに、非常に悩まされました。



 お車の預かりから修理までの流れですが、お客様から朝一番に、「昨夜からイグニッションキーが抜けなくて困っている。」と、お電話を頂きました。
 イグニッションキーがどうしても抜けなかったので、昨夜はスペアキーを使ってドアを施錠したとのこと。

 お客様は、「車も古いからしょうがないのでしょうか」と諦めの気配がありましたが、話を聞いた時点でキーの磨耗やキーシリンダーの不具合が原因ではないかと当たりを付けていたので、修理可能ですので安心してくださいと伝え、お車を預かる事になりました。



 さっそく作業に取り掛かり、キーを回したり、抜き加減を調整したりしているうちに、スッと抜けました。
 抜けたキーを確認すると、磨耗が酷くメッキも剥がれ、角も取れていました。
 シリンダー内部に異物や汚れが無いか確認し、キーの汚れを拭き、再度挿すとまたしても抜けなくなりました。

 何度か試してみましたが、なんとか抜いても挿すとまた抜けなくなる、という事が続き、その抜け加減等の状況からキーシリンダーの不具合と判断し、お客様へ確認をとった後に発注しました。



 キーシリンダーは二日後に届き、さっそく取り替えてみたものの全く改善していません

 そこからさらに故障探求をし、上記の原因にたどり着きました。

 ケーブルの破損部分については、修理が効きそうだったので、交換せずに作業を進める事に。

 ケーブル取り付け部が破損して固定できていない事が原因なため、その部分を固定するため、「ボンド・エイド P1500」を使用して修理をしました。

「ボンド・エイド P1500」はセメントタイプの急速硬化接着剤で、固まるとボルト用のネジ山を切れるくらいに非常に硬くなります。


 修理箇所で、確実にケーブルが固定できている事と共に、キー操作・抜き挿しもスムーズに問題なく行える事を確認し、修理完了としました。

 

 お客様には、今回の故障の原因としてキーシリンダーでは無く、上記にあるようなケーブルの一部破損が原因である事を説明すると同時に、キーとキーシリンダーについても、「今後、キーやキーシリンダーの磨耗により同じような症状が起きるのは不安なので」というお客様のご理解と納得の元、キーシリンダーもAssy交換させていただきました。



 今回の事例では、教訓として学ぶ事が多くありました。
 当たりを付けた原因を追究しないまま作業に入るのは、今回のようなケースに繋がるという自分に戒める経験になりましたし、作業に当たる前提として「固定観念を持たずに作業を進める事が大事」だと感じました。


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 エンジン・フラッシュ

 交換の目安は、3,000km~5,000kmです。
 オイルの汚れがひどい状態で走り続けると、エンジン内にゴミ(ワニス・スラッジ)が溜まりやすく、オイルラインの目詰まり等で潤滑不良がおきる危険性が高くなります。
 交換工賃込み ¥2,160~ 
 交換料金は車種により異なります。

 エンジン・フラッシュ

 走行しながらエンジン内の汚れを徐々に取り除き洗浄を行うので、隅々までしっかりと汚れを落とすことができます。
 3000~4000km走行してからが交換の目安です。


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