今回紹介するのは、平成5年式のトヨタ トヨエース[T-YY51](走行距離104,402km)のストップランプの不具合の状況と、その修理についてです。
症状:ストップランプが消灯しない。
この『ストップランプが消灯しない』という症状が出たトヨエースですが…
とある理由により、某自動車工場からの依頼で、積載1トントラックのトヨエースの車検整備依頼を受けました。
お車の使用状況は年間走行距離が5,000km程度とそれほど走る車ではありませんでしたが、初年度登録から18年経過している古い車で、消耗や経年劣化する部位に関して注意が必要だと感じました。
この車両に関しては当社に於いて整備履歴が無いので、過去の整備内容を記録簿から読み取ったり、依頼された業者さんと連絡をする等して作業を進め、車検整備は滞りなく終了しました。
少しだけ脱線した話になりますが、同業者さんからの依頼というのは、同業者さんの整備の仕方や方針に沿ったやり方が必要になる面があって、直接のお客様とはまた違ったプレッシャーが掛かりますね。
この車については、同業者さんとの連絡と取り合った中で、以前にウォーターポンプが故障し、{ポンプAssy・ファンベルト・クーラント入れ替え}の作業を済ませてあると伺っていたのですが、車検整備時、他の点検箇所も含め特に問題があるようには見受けられませんでした。
車検継続検査更新も済み、車両の内装・外装を念入りにを清掃した後、納車をするため某自動車工場へ、迎えの車と共に向かいました。
その時何気なく迎えの車に後ろを走るよう言いました。
目的地までの道程の三分の二辺りを走行した所で、ずっと後方を走っていた同僚が信号で止まった際に降りてきて、「少し前からストップランプが消えませんが、ずっと踏んでいます?」と声を掛けてきました。
「え!今は踏んでいないけれど」・・・焦りながら車両を路肩に止め確認する事にしました。
確かにストップランプが点灯したまま消灯しません。
フット・ブレーキの引きずりやサイド・ブレーキワイヤーの戻り不良による感じでは無いと思い、ブレーキ・ペダル・スイッチ本体不良又は接触不良かと考え、ペダルを踏み返したり、スイッチを手で直接操作したりしましたが、時々ストップランプが消える事はあったものの、状況は改善しません。
今さら引き返す事も考えましたが、目的地の自動車整備工場の方が近かった事もあり、そこで工具を借りて直すしかないと判断しました。
ストップランプについては、点灯したままでは電球の熱でテール・レンズが溶ける危険性があるので、一時的に配線を外した状態で某自動車整備工場に向かいました。
車検を終えた車両なのに恥ずかしい話だったのですが、状況を説明して工具を借りてスイッチを外し分解する事に。
やっとの事でスイッチを外してサーキット・テスターを借りて点検した所、接触不良では無さそうでした。
スイッチをもう一度元の位置に固定し、調整ネジで調整をしながら点検しましたが消灯しません。
再度外して分解し確認した際、スイッチのストロークの樹脂製のプッシュロッド部が経年の使用で磨り減っているのではと、再度取り付けた際に、ロッドの当たる部分に磨り減った部分を補うゴムや樹脂のワッシャーを挿もうと作業をしているうちに、指先に違和感が伝わりました。
どうやらスイッチの当たる部分(ペダル側)に穴が開いている事が判明。
穴を塞がなければスイッチが正常に機能しないと判断し、その工場の使わない部品置き場から、穴を塞ぐのによさそうな廃品を使用させてもらい固定した所、確実な固定ができ、スイッチの方も正常に作動したので、ストップランプもやっと消灯しました。
応急処置ではありますが、確実な処置により状況が改善され、依頼主の同業者さんからも了解して頂き完了としました。
帰社後に問題の箇所の部品図面を取り確認をすると、該当部分の部品はとても安価で在庫もあるとの事。
詳細を聞くと硬質平ゴムにシッポのついた形で、それを穴に固定する、というものでした。
ゴム部品
今回のお車の『ストップランプ消灯せず』は、ブレーキ・ペダル・ロッド(スイッチのロッド)とブレーキ・ペダルの当たりのゴムが経年劣化により破損し、スイッチが機能がしないという事が原因でした。
古い車は要注意だと思いますが、なかなかココまで気が付くのは経験だと思いました。
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