整備情報・不具合事例は、当店に持ち込まれたお車の不具合状況から、その原因として考えられる故障箇所、また実際の修理に至るまでを紹介します。
整備情報

平成22年 11月13日  整備情報・不具合事例④
 ~  マフラーより白煙が出る ~ 

平成29年4月26日 記事修正

 今回ご紹介するのは、平成17年式「走行距離:約110,000km」のムーヴ(ABA-L150S)で、マフラーから出る白煙の原因解明と修理です。


症状:アイドリング時・走行時共に、マフラーより白煙が出る。



 通常であれば、マフラーから白煙が出ることはありません。
〔え?私の車よく出るけど…、〕と思う方もいるかもしれませんが、それは『湯気』ではありませんか?。
 はい、マフラーからは『湯気』が出るのです。
 寒い日や雨の降っている日だったり、エンジンを掛けてある程度の時間が経つまでは、『湯気』が出ます。もちろんこれは正常なので大丈夫です。

 しかし、『白煙』が出るのは異常といえます。
 というのも、白煙が出る原因として殆どの場合はエンジンオイルが一緒に燃焼してしまっているからです。(エンジンにもよりますが、通常は白煙が出るほどオイルが燃えてしまうことはありません。)

 どのように燃えてしまうかというと、
 エンジンオイルが燃焼室や吸気・排気系統に流れ込み、そのままガソリンと一緒に燃えて(もしくは排気熱により燃えて)排気ガスと一緒になってマフラーから出てきます。

 湯気と白煙の簡単な見分け方は、『匂い』です。
 湯気の場合は排気ガスの匂いしかしませんが、白煙はオイルが燃えてしまっている関係で鼻に付く匂いがします。


 今回の場合、白煙の“匂い”によってエンジンオイルの燃焼が原因であると判断することができたので、さらに原因を突き詰め、故障箇所の特定を確実にする作業を進めていきました。

 現車のムーブはターボ車で、オイルが流れ込んでしまう箇所としては、エンジン内部と排気タービン周辺が考えられます。

 作業的には消去法の形を取っていきました。

 まずは排気タービンへと流れ込んでいるエンジンオイルの流れを一時的に遮断(注※)し、その状態でエンジンを始動させ白煙の様子を確認しました。

 すると、時間が経つにつれマフラーより出る白煙の量が減少したため、原因は排気タービン部周辺にあると特定することができました。

注※
 排気タービンに流れるエンジンオイルはタービンを“潤滑冷却”しています。今回は故障箇所の特定として安全面に配慮しながらの作業でしたが、不用意に流れを止めるのは排気タービン並びにエンジンの故障の原因になりますので絶対にしないで下さい。

 

 排気タービンは、分解修理をするよりもリビルト部品(再生品)を使用した方が(コスト面・補償面等で)利点が多かったので、その旨をお客様に伝え、確認のうえ交換をすることになりました。

 外したタービンを確認した所、タービン軸にガタがあり、そこからオイルが吸気及び排気側に流れ出ていたようです。

写真 排気タービン
ターボ


タービン軸にガタがある所為か、羽が欠けています。
ターボ


リビルトの排気タービン取り付け後の写真です。
リビルト(再生品)といっても、見た目は新品との違いが判りません。
ターボの交換


 交換作業完了後、白煙が出なくなった事を確認しました。

※それまでに流れ出ていたエンジンオイルがマフラー等に残っていたため、消えるまでに時間がかかりました。


 ちなみに、お客様にエンジンオイルの交換サイクル等について確認したところ、エンジンオイルの管理が十分ではなかったようで、オイルが減り始めてからも継ぎ足しをする等、交換管理はあまりしていないようでした。

 排気タービンはシビアな環境にある部品なので、エンジンオイルの劣化の影響を強く受けてしまったのではないかと考えられます。

 今回のケースでは、エンジンの状態を見る限り「焼き付きする一歩手前」の危険な状態だったと考えられました。

 もちろん排気タービン以外にも、エンジンオイルの劣化は様々な所に影響を与えるので、定期的にオイルを管理するのはとても重要になってきます。


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 エンジン・フラッシュ

 交換の目安は、3,000km~5,000kmです。
 オイルの汚れがひどい状態で走り続けると、エンジン内にゴミ(ワニス・スラッジ)が溜まりやすく、オイルラインの目詰まり等で潤滑不良がおきる危険性が高くなります。
 交換工賃込み ¥2,160~ 
 交換料金は車種により異なります。

 エンジン・フラッシュ

 走行しながらエンジン内の汚れを徐々に取り除き洗浄を行うので、隅々までしっかりと汚れを落とすことができます。
 3000~4000km走行してからが交換の目安です。


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